momo no kan zume vol.1 より

03.07.26

 

 

Putty.co.,丸山真樹子(横浜出身、心の故郷は宮城/5.31生/O型) :照明作家、Vo & Key

'94

武蔵野美術大学入学 染織を学ぶ

'96

バンドを結成し、ライヴ活動を展開

'98

JAPAN’TEX98 出展

'01

Putty.co., 設立

'01/08

2人展「ココロノジカン」G・Hギャラリーにて

'01/08〜11

宮城県をはじめ、各場所にて照明展出展

'01/12〜'02/11

代官山クラシックスをはじめ各場所にて バンド「LPchep3」との音楽と照明のコラボレーション

'02/02

第六回みやぎ県民文化祭”宴と美の祭典”において照明作品展示にて参加

'02/03

宮城県仙台市「 Modern Japanese AZUMAN」店内イベントにて照明展示として参加

'02/11〜現在

四谷天窓にてマリンバ奏者「エリンバ」との音楽と照明のコラボレーション。その後も、数々のアーティストとのコラボレーションを重ね、現在に至る。

http://Puttyco.at.infoseek.co.jp/

 

まるで我が子のように照明たちを
"このコ" と呼ぶ丸山さん。
抱いているのは『MOKO-3号』。

 

 

 照明作家。あまり聞き慣れない言葉ながら、インテリアショップや展示会では多くの人が暖かな光に照らされているのを見かける。その光で空間をデザインする作家のことだ。

 今回紹介するPutty.co.,丸山真樹子さんもそのひとり。しかも、丸山さんは空間をデザインするために照明の光を利用しているというよりは、照明ひとつひとつに命を吹き込んでいる作業に近い。和紙を染織するところから仕上げまで全てひとりで行う。ふたつとして全く同じものは作れない。 まさに個性を持った、命を持った照明ができあがる。彼らがお客さんの手元に届く時、丸山さんは "お嫁にいく" と表現する。嬉しくも、ちょっぴりせつない。

 そんな照明たちの放つ光と、音楽をコラボレーションしたライヴイベントを、LPchep3と共に一昨年から始めた。エリンバ、及びJICO達をきっかけに四谷天窓の存在も知り、今回のmola-mola&石井幹主催 "momo no kan zume" でも、前回vol.0から丸山さんが参加することで大きな反響を呼び、より印象の残るライヴイベントにしている。

 そうなると、ライヴ会場では照明作家もひとりのアーティストだ。今回はそんな照明アーティスト、Putty.co.,をご紹介。

 

 

まずは照明のセッティング。今回は新作5つ含む照明たち。

アーティストのサウンドチェックと同じく、限られた時間内で全て終わらせなければならない。照明の搬入、客席へのレイアウト、電源の分配、取付け、調光卓への接続、電源コードの固定など、やることは多い。

ちゃんとお客さんの頭に照明があたらないかチェック。あくまで、ライヴを主体にした照明レイアウトの配慮を忘れない。

 

リハーサルを見守る、新作『MOKO-7号』。

                  

            

信頼する人達の協力を得て、セッティングは終了。

普段より随分おしゃれに感じる物販スペース。出演者のCDを照らしているのは新作『こもも-1号』。

     

サウンドチェックも終え、開場真近の店内。出演者のボルテージも上がってくる。丸山さんも最終チェックに。

    

photo by JICO

3つ並ぶMOKO。左から3号、7号、6号。

     

        

MOKOから溢れ出る光は、 まるでMOKOの体内エネルギーのよう。

photo by JICO

   

そして本番。開演時から終演まで、店内は常に満員のお客さんで埋まる。

            

       

薄明かりにお客さんの顔が浮かぶ。ステージも独特の空気感に包まれる。

最後のセッションでの1コマ。今回のmomo no kan zumeで特徴的だった、アーティスト同士のコラボレーションと同様に、終始光と音のコラボレーションが店内を包み込んだ。

     

 

 

 

照明を持ってお店をまわり始めたのは一昨年。
ことごとく断られちゃって。

−最近になって、アーティストさんとコラボレーションする機会が増えてますよね?

Putty.co., 丸山真樹子さん:
そうなんですよ、一昨年LPchep3さん達と一緒に照明と音楽でやったのがターニングポイントというか。それがあまりにも気持ちよくてお客さんも喜んでくれて。

その後もその繋がりでいろんな方からお誘いがあって。 それまでは音楽とかとは絡めないで照明だけで静かに、という感じだったんです。

−かなり四谷天窓の雰囲気にも合うんですよね。

そうなんですよね、びっくりしちゃって。他の場所は例えば白い壁で、床がコンクリートで打ちっぱなしとか洋風な雰囲気の場所が多かったんです。そんな中、四谷天窓さんで初めて和風に置いてみたら、これがまた。

−照明自体は、洋風・和風分けてたりします?

全然分けてないです。照明自体はいつも同じスタンスでつくっているので。それが場所によって顔が変わって、不思議と洋風にも和風にも合うんです。それが面白くて。

−照明のきっかけはいつ頃から?

ステンドグラス
光を通すもの…
水、紙、布、
ガラス…。

そんなイメージを
形にしてみました。

もともと大学時代から染織やってたので、布や和紙は染めてはいたんです。それから卒業して、照明を持ってお店をまわり始めたのは一昨年。「おいてくださ〜い」って。ことごとく断られちゃって。 1件だけ置かせてもらえたんですが、そしたらそこつぶれちゃったんです。それでこれはもう自分で活動していかないと、と思って展示をやったのがきっかけですね。


凍えた心を
ほっとさせるもの、
それは暖かな窓から
こぼれてくる光。
和紙も手すきで
つくりました。

−ひとつ完成するのにも時間がかかりますよね。

なので、平行していくつかつくるんですよ。例えば先に和紙を染めて、あぁこの柄にはこんな形が良いなとか思ったり、ラフスケッチ書いててこの形にはどんな柄が合うだろうか、とか。

−曲作りと似てますね。曲からだったり詞からだったり、同時にできたり。

一緒ですね、まさにそんな感じ。あと、言葉からもできるんですよ。すごく良い言葉があったら、そこからイメージが膨らんでできちゃったり。

−ライヴ中にお客さんが注文してもOK?

もちろん。イベントで惚れてもらったら、そこでもうお嫁にいってもらうっていうのが一番良い形だと思ってるんです。

−お店のインテリア照明コーナーって人は絶えないから、需要はありますよね。

そうですね。例えばすごく寒い冬、殺風景な部屋に灯油とかもないとするじゃないですか。そこにあかりが灯ってたら、部屋の温度は低いんだけど気持ち的にあったかくなれるとか、そういうふうに必要として欲しいなっていうのがあるんですよ。

−ただ、今の日本にゆとりがなくなったらどうなんでしょう。

そう、ゆとりの商売なのかな。結局生きるために必死だったら、「蛍光灯でもいいよ」ってなっちゃうんでしょうね、きっと。デザインの分野って、例えば企業でもなんでも不景気になると一番最初に切られちゃう部分だと思うんですよ。でも、長い歴史の中で残っているのは芸術品なんで、そう思うとちょっと元気が出るかな、なんて。

MOKO-4号
おなじみのMOKOシリーズ。
MOKOは皆、
生きているのです。
このMOKOちゃんは尻尾が
こんなに伸びちゃいました。

ホントはずっと漫画家になろうと思ってた。

photo by JICO

墨流-1号
和紙と金と白の調和と美しさ。
流れるような墨のラインが
心を和ませます。
お年寄りに人気。
天窓の障子をバックに。

−子供の頃はどんな子でした?

すごく気が弱くて、泣き虫。そのわりに親が言うには何やらかすかわかんない子で、すべり台は毎回頭から逆さまに滑ってたらしいです(笑)それでほっといても「へへっ」て笑ってるような子だったらしく、その分ケガは多かったですね。

−創作的なことは?

お絵書きがすごく好きで、ずっと絵ばっかり。小学校の時は漫画をノートに連載して、学年中にまわしてたんですよ。ホントはずっと漫画家になろうと思ってたら、漫画家になるには冷静な目がないとダメで、自分の書いている物語にのめり込んじゃダメだと思うんですよ。

私はのめり込んじゃうほうで、自分で「ははっ、おかしっ!」って思っても、ひとりよがりじゃ他人は笑ってくれないので、物事を冷静に見れなきゃいけない。けど、それもできなくて人に会ったら人にのめり込んじゃうし、本を読んでも一緒。それを一歩引いてね、冷静に見て分析できないと面白いものが書けないから、それで諦めました。

素材、染めるとき書くときは何も考えてません。
おなかすいてひたすら食べてる感じ。
何も考えないじゃないですか。

−ということは、照明に冷静な目は必要ではなく?

あ、考えたことなかった、そういえば。つくることはホント自然にやってたから。ただ、つくり終わった後に色んな角度から眺めて、本当にこれでいいのかなっていうのは、よーく考えてから。でもその素材、染めるとき書くときは何も考えてません(笑)

おなかすいてひたすら食べてる感じ。何も考えないじゃないですか。どうしてやろうって思っても、そうはなってくれないんです。和紙とか、自然なものだから。

昔、藍染め工房で働いていた時によく言われた言葉が、『染めてやろうじゃなくて、染まるお手伝いをさせて頂くんだ。自然が生み出す色をありがたく頂くんだ。』だったんですが、本当にその通りだと思うんです。

−なるほど。詞書くときもそうなのかもしれない、アーティストによっては。

そうかもしれない。うーんって考えて書く人もいると思うんですけどね、私がバンドで作詞作曲するときもやっぱりどういうの書いてやろうとかじゃなくて、何も考えてない時パッと、浮かんだのを書き留めてるんですよ。

−作曲もされてるんですよね。こういうコードでこういうメロディ作ってやろうって考えるよりは。

全然違いますね。

photo by JICO

紺碧
真鍮の骨組みを使用した
新しい製法での第二弾。
藍染めをイメージした
淡いブルーを透かして
見えるのは…。

−フッと、鼻唄のメロディ。

そうですね、そんな感じ!でも照明つくることに関して、そんな風に分析したことなかった、そういえば。不思議ですね。

−分析が必要かと言えばそうじゃないかもしれないですけどね。でもいつか分析する日が。

来るかもしれないですね。今はおなかすいてひたすらガツガツ食べてるときだと思うんですよね(笑)

−ちょっとおなか一杯になった頃、どんなもの食べたら健康になるんだろうってカロリー計算したり、ダイエットするには、とかね。

そうそう、何か減らさなきゃとか、もうちょっとこれを摂らなきゃとかね。まだまだ修行中ですね。これは一生のライフワークになると思うので、50年後の自分がどうなってるか、楽しみですね。

夫は大学時代から常に私の一歩先を行ってて、
彼の作品に一回もかなわなかった。
でも彼の作品が私の作品に影響したことはないんです。

夢は、Putty.co.,をちゃんとしたブランドというか、きちんと流通に乗せることなんです。現在基盤部分は自分でノコギリ引いたり、ハンダで付けたりとかやってるんですけど、やっぱり技術的な部分はそのプロ達がいるから、その部分に時間を割くよりも、自分は完成型に向けてのデザインの部分をしっかりやりたいんです。きちんと注文も受けて工場に発注して、コンスタントにつくっていけるようになりたいです。ただ、そういう技術的な部分もまだやっぱり腕を上げなきゃっていうのもあって。

あと、夫が金工やってたから技術的な部分では色々教えてもらいつつ。厳しいですよ、でも。なかなか褒めてくれない(笑)

−だんなさんが作品に対して厳しい人、ということで。

すごい冷静ですね。一番厳しい目を向けてくれて、ダメだって言われたことは一杯あります。彼は大学時代同じ学科だったんですけど、その頃から常に私の一歩先を行ってて一回もかなわなかった。彼のつくったものを一回も越えられなかったんですよ、自分的に。

私は自画自賛型、彼はその逆ですね。自分に厳しいというか。だから私が「よくできたー!」って満足してても、必ず「こことここがダメだよ」っていうのを見つけられちゃう。最初はムッとしたけど今はそれがありがたいので、さらにいいものがつくれていると思います(笑)

photo by JICO

小紅
自身の披露宴の為に
つくった照明。
しかし当日電球を忘れて
しまった、想い出の逸品。
天窓メニューと一緒に。

MOKO-1号
putty.co.,の
照明製作の基盤となった
MOKOシリーズの元祖1号。
ここからPutty.co.,は
始まりました。

−ダメ出し出たものは、出さない?

つくり直します。ダメなものはダメ。やっぱりお客さんの手元に行くことを前提につくっているので。でも夫がダメだって思っても、自分が本当に良いと思っていたら、聞きません(笑)

−だんなさんの作品には影響を受けました?

それはないんです。尊敬はしているし人として影響は受けるけど、自分のつくるものに対しての影響は受けない。その考えは予備校時代から変わらなくって。だから誰かが何かやってそれがいいと思ったら、「あ、これはもうできない」と思っちゃうんですよ。

まあでも、今はもう芸術ってそうじゃなくて、みんなが真似してコピーがコピーを生んで歴史は繰り返して行くから、真似するって全然悪いことじゃないんですよ。それよりいいものつくっていければ良いわけだから。

でも私、どうもそれがイヤだなって思って。できれば外の情報を全部シャットアウトして、純粋に自分の中にあるものだけを抜き出してみたいって思ってた時期もあるくらいに、誰の真似もしたくないし、影響も受けたくない。「私だけのもの、これは。」っていうのが常にある感じなんです。

あ、夢もうひとつあります。自分の工房を作ること。毎日夜になるとあかりを灯してそこでお茶とかも出して、大きなガレージでギャラリーみたいにしながら…、っていうのが夢です。かなうかどうかわかんないけど(笑)

 

 

『気持ち的に、見てるだけで元気が出たりとか、慰められたりとか、やる気が出るとか、そういうパワーを分けられるあかりを創っていきたい。』

Putty.co.,丸山真樹子

 

 

 

LIVE情報

8/22(金) 

三軒茶屋 Grapefruit Moon Newtype Basement Ensembl のライブに参加

8/24(日) 

四谷天窓 コラボガーデン+3

11/6(木) 

渋谷7th floor ウタまるこBORO初プレゼンツ!!2周年記念LIVE!!「smile☆smile☆smile☆」

11/27(木) 

下北沢440 村守水分 年内ラストワンマン

 

 

販売情報

イベント、注文にて照明販売。タペストリーなども可。

 

 

HPアドレス

 

http://Puttyco.at.infoseek.co.jp/

取材・文・撮影:高橋慎一郎, Copyright 2003, (c) G.T.O. Group All Right Reserved.