ー1stフルアルバム「MONSTaR」(2010.5.12発売)、タイトルに込められた意味を教えて下さい。

「アルバムが出来上がって10曲全部聴いた時に、日々の喜怒哀楽とか色んな気持ち、自分の奥底にある怪物(モンスター)みたいな気持ちが込められている曲ばっかりだなと思ったので、そういうタイトルにしました。スペルが「MONSTER」じゃなくて「MONSTaR」なのは、怪物って言うとなんかすごい恐いものって感じがしちゃうので、その中にも明るい輝きみたいなものを持たせたいと思って「STAR」のスペルにしました」

ー杏林さんの心の中に居るモンスターとは、ずばり。

「大きく揺れ動く感情みたいなものだと思ってて、今回の10曲のように、私らしいって言われる様な等身大の曲があったかと思えば、私らしくないって言われそうな曲とかもあったり。そういう色んな感情の事だな、っていう風に思ってます」

ー『ランドリー』はエレキギターで弾き語りですね。

「はい。アコギだとちょっと雰囲気が違うかもと思ってエレキで弾き語りしてみたら、今までになかったしすごくイメージに合ったので、そういう風にしました」

ーアルバムの中のギターは全部、杏林さんが?

「ほとんど弾いてるんですけども、『また、明日。』の一部のエレキと『オレンジ』は私以外の人も弾いてます。ちなみに『オレンジ』はアコギだけ担当させてもらって、あとはシュノーケルの皆さんにアレンジ、演奏してもらっています。シュノーケル活動休止前の最後のレコーディング音源だったという事もあり、思い入れもあります」

ーなるほど。確かシュノーケル西村さんのコーラスも入ってましたよね。

「はい、自分の曲にコーラスが入る事はあんまりないですし、男の方のコーラスが入るのが初めてだったので、すごく新鮮で良い雰囲気に仕上がったなと思ってます」

ーアレンジと言えば『さよならネオン』も10曲の中では全く異色ですよね。

「この曲はmodestockのお二人にアレンジしてもらいました。この曲も初めは弾き語りでライブでも何度か演ったんですけど、しっくり来ない感じがあって、アレンジをお願いしたらこれが元々だったかの様にしっくり来て。こういう打ち込みの曲は、普段ライブで観てもらえる事がなかなかないので、絶対アルバムに入れたいなって思いました」

ー杏林さん自身のアレンジも結構面白いものが多いですよね。例えば『MONSTaR』も『ランドリー』もサビが7小節だったり。

「そっか。そうですね、それは弾き語りの時から元々その尺で演っていますね」

ーあと、『おとなこども』は三拍子だったりとかね。今回色んな曲が織り交ぜてあるなぁと。

「そうですね、自分の中でも三拍子っていうのはあんまりないので、ちょっと新しい感じでした」

ー歌詞はちょっと考えさせられるけどね、『おとなこども』。

「ふふ(笑)そうですね。ちょうど二十歳になったこのタイミングで出せて良かったなって思っている曲ですね」

ー確かに30歳になったら書けないかも知れない、この曲は。

「そうですねー(笑)説得力が無くなっちゃうかも知れない。子供目線としての、今だからなんか言えちゃうかなっていう感じがあります」

ー今、10年後の自分に声をかけてあげられるとしたら?

「いい意味で子供らしさを忘れないで欲しい。色んな事を諦めた目で見ない人でいて欲しいと思います」

ーなるほど耳が痛い。また、杏林さんの歌には景色も多く出てくると思うんですが、実際好きな街とかはあります?

「うーん、好きな街…。『また、明日。』で「この坂をのぼりきって」って始まるんですけど、そこは近所のとある場所のイメージで書いてます。好きっていうよりは近所がホッとするかなやっぱり。近所フラフラして(笑)」

ー遊びに行くとしたら?

「新宿、渋谷とか。遊びにというか買い物に。ほんと場所知らないんですよね。ずっと東京にいるんですけど。東京出身なのに、地方出身の人に東京の場所を教えてもらうみたいな。色んな所に行った事がなくて」

ー東京だけでも沢山街あるものね。買い物では何を?

「やっぱり洋服ですね。でも最近全然行けてなくて」

ー好きなブランドとかは?

「zuccaとかFRAPBOISとか、そういうブランドが好きです。でもちょっと高いんで、手を出せるか出せないかいつも狭間で、セールの時に頑張って買います(笑)」

ーそういえば、あまり恋愛の曲は書かない?

「うーん恋愛の曲として書いてるものもあって、でもなんか人生の曲ともとって欲しいし、そういうつもりで書いてたりとか。結構、同じ事を言いたかったり」

ー例えば今回だとどの曲だろう?『とうめい傘』とか。

「そうですね、『とうめい傘』も最初から最後まで恋愛としてもとれるし、人生としても前向きに歩き出そうみたいな意味も両方込めてますね」

ーなるほど。あと今回バラードって感じたのが『とうめい傘』だけで、あとは全部疾走感があるなぁと思ったんですよ。『Knob』は結構ロックな感じだったりとかね。

「そうですね、この曲がもしかしたら一番私らしくないって言われるかも知れないんですけど、ここは新しい挑戦というか、今まで書かなかった様な歌詞を書きました」

ー曲調も、これライブで観てみたいなってくらい弾けてますよね。あと『α』もね。

「やっぱり前からバンドはすごい好きで、こういう感じのもやってみたいっていうのが実現しました。『α』は時間かかりましたね。サビがどうにもハマらなくて、8パターンくらい作って。その分、すごい大事な曲になりました。色んな方に協力してもらって出来た一枚です」

ージャケットもそうですよね。YUKI、チャットモンチー等のCDジャケットも手がけているオオツカユキコさんに?

「はい、色々お話しして描いていただきました。曲のイメージからも日常と非日常みたいなものが合わさっている様なものがいいと思って。オオツカさんの絵は一見素朴でかわいい感じなんですけど、なんかこう力強いものを秘めていて、すごい好きなんですよね」

ーこのアルバムがどういう人に届いて欲しいですか?

「自分にそういう部分があるからかも知れないんですけど、普段はすごく明るくしていても、一人になると色々なことを考えこんでしまう人ってたくさんいると思うんです。そんな時に少しでも気持ちが楽になってもらえる歌として、「MONSTaR」を届けることができたら嬉しいです」

 

インタビュー: 高橋慎一郎 (四谷天窓)

 
音波マガジン
2010年5月号表紙
河合杏林
(かわい・あいり)
 
 河合杏林(かわい・あいり) 1989年12月東京生まれ。シンガーソングライター。中2でギターを、高2でライブ活動をスタート。現在は都内を中心にバンドやギター弾き語りでのライブ活動中。スケジュール、ブログ、音源試聴は河合杏林のMySpaceをチェック!
http://www.myspace.com/anzunooto